ギロチノイド
Terror
(1978)

¥4400

これはノーマン・J・ウォーレン版『サスペリア』か!?

1977年、ノーマン・J・ウォーレン監督は『サスペリア』を見て、ロジックを無視した展開と映像の圧倒的パワーに衝撃を受けた。その影響下で早速取り上げたのが本作である。

300年の時を超えた魔女の呪いが、映画プロデューサーの周囲で不可解かつ残忍な事件を巻き起こす本作は、原色の人工照明を駆使する等『サスペリア』からの影響が顕著だ。しかし、開始10分でTHE ENDの文字を出し観客を巧みに翻弄して以降、本作は『サスペリア』というより、これもまたアルジェントが得意としたジャンルである猟奇スリラー、ジャッロの様相を呈する。呪われた家系の主人公ではなく、周囲の無関係な連中が次々と殺される理不尽さが指摘されることも度々ある本作ではあるが、これは本作が「なぜ」という動機よりも、「どのように」という手段に注力することで既存のスリラーとは一線を画したジャッロ、ひいてはイタリア製ジャンル映画が持ち得たエクスプロイテーション精神を正しく継承した証しだと言えよう。ジャッロを経て再びアルジェントの魔女三部作を彷彿とさせるカタストロフへと回帰する展開に呆然とするが、本作こそは、相容れないと思われた英国とイタリアのホラーが邂逅した貴重な瞬間ともいえる。

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