アートと恐怖が融合した注目作!
関節炎で手が不自由なストップモーション(コマ撮り)アニメの大家を母に持つ女性エラ。母は根気と集中力のいる実作業をエラに任せ、高圧的に指示を出すのみ。自身も映像作家であるエラはそんな母に反発を覚えつつ、自分の意志を封じ込める日々。やがて母が脳卒中で倒れた時、エラは作品を完成させるべくマンションの一室に籠って作品制作に没頭するのだった。その時、どこからか小生意気な少女が現れると製作途中にある作品を「つまらん」と一刀両断。「本物の肉を使えばいいのよ」「動物の死骸を使うのよ」と型破りな、しかしどこか魅力的な提案を始める。事実、少女のアドバイスで作品は生命を宿し始めた。しかし、やがてエラの生活は、現実とコマ撮り作品の境界線が曖昧になり、作品の中の怪人「灰男」が・・・。
20年以上に渡って短編映画やアニメ部門で仕事を続けてきたロバート・モーガン監督初長編となる本作は、不気味なストップモーションアニメと実写が見事に融合した素晴らしホラー映画となった!クリエイターである主人公の内面を丁寧に切り開いて探るような、ゆったりと流れる演出テンポとダークなムードが、本作を他と一線を画すユニークな存在にしているのではないか。芸術点の高い本作だが、油断していると超リアルな激痛シーンもあるのでご注意を。まるでデヴィッド・リンチの映画を思わせるような「部屋」も印象深い。
映画やアート、小説、音楽などなど、身を削り全霊で何かをクリエイトする人たちにとっては、また別の恐怖が感じられるかもしれません。 |