若き殺し屋ジョニーが路地裏で男の首を掻っ切った。その現場を塀の隙間から目撃したのは、まだ言葉を話すこともままならない小さな坊や。組織から目撃者を始末せよとの命令を受け、先ずはシングルマザーの母親に近づく殺し屋。だが、徐々に親睦を深め、やがてベッドを共にする頃には、坊やにもすっかり情が移ってしまっていた。組織は早く殺せと圧力を強め、警察も捜査を進める中、坊やは確かに殺し屋のことを覚えていた・・・。
「悪魔の赤ちゃん」シリーズや「空の大怪獣Q」「ディーモン/悪魔の受精卵」の鬼才ラリー・コーエンが監督した異色スリラー。「スキャナーズ」のスティーヴン・ラックも出演。一風変わった本作、舞台となる80年代前半のニューヨークの息吹が感じられるロケ撮影も素晴らしい。意識的に強調して描かれているわけでもないのに、その存在を否が応にも主張し、観客の心の中に、映画の物語とは直接関係のない新たなる物語さえ掻き立てる街ニューヨーク。映画の舞台という役割をはみ出すその存在感は、物語に没頭したい向きには少々うるさく映るかもしれないが、そうした部分もまた、近頃ではあまり見かけなくなった映画の魅力である。
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