The Duke of Burgundy (2014)
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ピーター・ストリックランド監督が映像美を駆使して描く熟女カップルのSMサイコドラマ!

森の奥の屋敷で蝶や蛾の研究をする熟女シンシア。そこにはイブリンがお手伝いとして通っている。 レズビアンのカップルである二人は、信頼関係の下にSMプレイを楽しんでいる。それは予めプレイの内容が決められパターン化された、ある種儀式のようなものであり、大抵はシンシアのブラウンのパンティーを洗い忘れたイブリンが罰として飲尿を強要されたり、寝かせたイブリンの顔面に大きな尻を乗せたシンシアが澄ました顔で本を読んだり、といった按配である。だが信頼の上に築かれた二人の関係は徐々に揺らぎだすのだった・・・。

蛾の飛翔をスーパースローで捉えたり、実験的な映像も駆使する一方で、熟女の醸し出すエロティシズムを格調高い映像美で描き出す。イブリンを箱に閉じ込めて罰するものの、ベッドで独りで眠る寂しさに我慢できずに憤慨するシンシアのツンデレぶりが微笑ましいが、このSM心理ゲームの行きつく先は果たして・・・。

シンシアの股の間に広がる暗闇にカメラがズームイン、そのまま内的世界に突入する辺り、『ブルー・ベルベット』のリンチ的手法が垣間見られる。一方で、オープニングのタイトルバックはほとんど70年代イタリアのジャッロ『ソランジェ 残酷なメルヘン』のよう。このようにストリックランド監督の嗜好が見え隠れする本作だが、そうしたオマージュが自制を失ってファンのお遊びに堕することなく、作品そのものに貢献している辺り、大人と言いますか、さすがプロですね。美しく印象的な曲はファリス・バドワンとレイチェル・ゼフィーラのデュオ、キャッツアイによるもの。

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