![]() |
だれもが認める映画史的な幻の映画とは別次元で、映画好きなら個人的「幻の映画」といのが有るのではないでしょうか?さらにここでは「大昔にテレビで見たんだけど、二度と見れなくて・・・」といった類の「幻の映画」ではなく、
「その存在は知っているが、なかなか実際お目にかかれなくて・・・」といったものを指して「極私的幻の映画たち」と称してみます。 |
![]() 今じゃ当たり前に誰でも観れますが、80年代半ば、田舎の高校生だった自分にはまぎれもなく幻にして、是が非でも観たい憧れの一本でした。 当時は国内版ソフトは未リリース。自ずと輸入版に頼ることになるわけですが、時代はヘア解禁前。 なもんで輸入LDは輸入不可能。税関にて該当箇所を消去された(映画の途中、いきなり砂嵐画面で数箇所中断されます)ビデオを輸入するしかないトホホ状態でした。小遣いはたいてベータの輸入ビデオを注文、ようやく届いたブツを、深夜にこっそり観たあの衝撃とスリルは20数年以上経った今も鮮明ですわ。 |
![]() 「時計じかけのオレンジ」つながりでいうと、アンディ・ウォーホル版「時計じかけのオレンジ」というのを知ったのが90年代初頭だったでしょうか?タイトルが「VINYL」っていうことだけは覚えていたので、ウォーホルの映画に関する記事が出るたびに何かこの映画の情報はないか?と目を血走らせてたもんです。結局、ようやく観れたのは十年以上も後、イタリア版のDVDが発売されてからでした。内容ですか?いやぁ、もう観れたってことだけで十分です…。 |
![]() 80年代はわたくし、すっかりクローネンバーグ監督に洗脳されておりました。そんな日々、クローネンバーグ関連の記事を読むと必ず出てくるのが「THE BROOD」というタイトルの未公開作。しかもクローネンバーグを語る上で欠かせない重要作とか・・・いや、田舎の高校生がクローネンバーグを語る必 要なんて全くないのですけど。いずれにせよ、この幻のクローネンバーグ作品、「ザ・フライ」効果で無事ソフト化(たしか劇場公開も)されました。 むしろ、クローネンバーグに関しては、より幻指数の高い初期中編「ステレオ」「クライム・オブ・ザ・フューチャー」の公開&ビデオ化に度肝を抜かれつつ、幻指数マキシマムな60年代の短編「トランスファー」「配水管から」の2作をクローネンバーグ回顧展だかで観れたことが、今振り返ってもなんだか奇跡のようです。 |
![]() 今じゃ廉価版DVDで軽く観られる当たり前な1本ですが、これが以前はなかなかどうして。自分の場合、たぶんスクリーン別冊のホラー本あたりで知って観たくなったと記憶していますが、何かの雑誌で竹中直人さんが輸入LDの魅力を語るのに、この「恐怖の足跡」を引き合いに出してたのを読んで、渇望度ますますアップ。その分、実際に観た時は、自分の脳内バージョン「恐怖の足跡」がかっきりイメージされてたもんで、その差異に一抹の物足りなさを感じたような・・・勝手なもんですね。 |
|
![]() 短編といえば、ジョージ・ルーカスが学生時代に撮って全米が腰を抜かしたこの傑作短編も、いまや「THX1138」の特典ディスクに収録されておりますが、自分にとってはまぎれもなく幻の映画でした。たしか90年代初頭に「ぴあフィルムフェスティバル」かなんかで、今は無き中野武蔵野ホールで上映されたのですが、前売りを買っておきながらどうしてもスケジュールが合わずに行けずじまいという苦い思い出が…。代わりに行った次のプログラム「フォービデン・ゾーン 」は、これはこれで大収穫でしたが。 |
時は過ぎ、時代は変わり、いまやインターネットで多くの情報を簡単に得られる世の中はほんとうにありがたいもんで、自分もその恩恵をこうむっております。しかし井の中の蛙と言いますか、自分のせまーい世界の中だけで成り立っていた、これら幻の映画たちに馳せる強い想いというものは、あるいは情報の限られていた当時だからこそ有り得たのかもしれませんね。
ビデオマーケット店主 ルチオ・コルチ |
|