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食人族、好き!
PAL盤/¥6600

 「あなたの一番好きな映画はなんですか?」という質問をたまにされるのですが、正直答えるのに困ります。イイ映画はたくさんあるし、何を答えるか試されている様な気がしてしまうのです。そこで一発かませるものを探すのですがやはりムズカシイ。「一番インパクトがあった映画は?」と聞いてくれれば私の場合、答えは簡単に出ます。それは忘れたくても忘れられないトラウマ映画、今回紹介します『CANNIBAL HOLOCAUST(食人族)』です。私の頭にこびりついた残虐映像の数々は今でも事あるごとに顔をだし、祖母の顔なんかよりかなりハッキリとおもいだせてしまうのです。というのも中2の夏に初めて観たときの印象が強かったのです。

 当時退屈な寮生活をしていた私の楽しみと言えば、寮監(警備員兼のおじいちゃん)が寝た後に、悪友ならぬ、悪先輩と忍び足で抜け出し夜の近所で遊ぶことでした。ばれたら停学間違いなしなのですが、退屈な我々は日課となっていました。ボールの見えないドッチボール、サッカー、深夜2時のピンポンダッシュ等、考え付く事は全てやりつくしました。寮生が全員抜け出してしまい(少なかった・・)寮にいるのは寮監だけという夜もありました。。 (あの頃がナツカシイ・・)さすがにその地区で多少問題になってしまいしばらくオトナシクしている時、流行ったのがビデオ鑑賞会でした(ほとんどエロでしたが・・)。順番で一人が何かを持ってくるのですが、イイモノを持っていったときの優越感といったらありませんでした。眠い中自分のホームビデオを深夜に2時間強観せた先輩を本気で殺そうかと人生で初めて思いました。(誕生日会やら運動会やら・・ちんたら・・酷いカメラワーク!)。自分の番、一発かますためにビデオ屋でイってるジャケ探しに夢中だったとき出会いました!裸の女性が串刺しされているではありませんか!(縦に貫通しているのは初めて!)そのうえに「食人族」と書きなぐりの赤い文字タイトル。手に取らないわけにはいきません。なぜか半笑いで裏のあらすじを読むとなにやら胡散臭い話が書いてありました。(「失踪したドキュメンタリー映画クルー達を捜索し、見つかったのは死体とビデオテープだった。そこに映っていたものとは・・。」みたいな。) しかし、完璧に本物と信じきった未熟な私は今夜の英雄となることを確信し、レジへ走りました(このときもたぶん半笑いだったろう)。

 そして夜、先輩には何も知らせず再生ボタンを押しました。大先輩方の反応ばっかり気になる私はストーリーそっちのけで反応を楽しんでました。じょじょに現場に広がる冷めた空気がたまりませんでした。そして顔を覗かせ始める残虐シーン。腹を裂かれ「ピッ、ピギャー!!」と泣き叫ぶ小動物。腹を割られ、手足をばたばたさせて食い殺される大型亀。それらを平然と食べる人間達。さっきまで冷めていた空気は一気に消え去り、みんながはじめて見る映像ばっかに釘付けでした。いわゆる”食人族”が登場してから更に残虐さがパワーアップし、尖った石で女の局部を開拓したり、腹んだ女から子を引きずり出し埋め、その女を大勢で殴り殺したり・・・直視できませんでした。クルー達の非道な扱いに、遂にキレた”食人族”がクルーを襲い始めるラストシーン(強姦シーンがあった。)は、残虐さもピークに達し、逆に目が離せませんでした。「怖いもの見たさ」というやつです。まだご覧になられてない方は一度はご覧になってみてください。

 こうして無事鑑賞し終わった先輩達に感想をききました。  「いやぁ、人食っちゃだめだよ」「亀の中ってああなってるんだ」 夜食を食べながら平然とラストシーンを凝視する先輩とその後少し距離を置かせてもらいました。 後に 「眠れねぇ」   「俺が食われた夢見たんだけど」  「人見たら内臓想像しちゃうんだけど」

人によって感想は様々ですが、脳裏に焼きつかせたこと間違いなしでした。 おかげで私の頭にもこびりつき、眠れぬつらさを少しでも多くの人に伝えるべくカンニバルパイオニアとなったことは言うまでもありません。その後我が校で起きた"食人族ブーム”は自分がひいてしまうほど拡大しましたが、女子のファン獲得に失敗し跡形もなく消え去りました。

それから十余年、完璧に記憶の奥底に追いやったはずの『CANNIBAL HOLOCAUST』と感動的な再開を果たします。
しかもしばらく見ないうちに最強盤となっていました。
1.完全ノーカット!
2.本編と特典を別にすることによる最高レベルの画質!(きれいでした。)
3.未だ誰も見ぬ幻の3カット(15秒)を含む。(私は恥ずかしながら記憶があいまいでどこだか分かりませんでした。お分かりになった方、VM2Fまでご一報おねがいします。)
4.豪華特典DVD(監督インタビュー、イメージ多数)
2枚組みにまでして画質にこだわっています。この意気込みはまさに最強盤と言えます。

「人に観せたい映画はなんですか?」

今度まだ知らない友人が我が家に来たとき、それとなくこのDVDを発見させます。「これ何?」 「観てみれば?」

「ピッギャー!」・・・「フ、フガー!」・・・モグモグモグ           by 齋藤



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