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ROCKと西部劇の融合?

 今回私が紹介する作品はその名も「ウェスタンロック・ザカライヤ」です。その名の通りウェスタン(西部劇)に、ロックを結びつけた異色の西部劇というのが一般的なコメントでしょうか。西部劇に関してはほとんど知識のない私が言うのも何ですが、この作品は単に『異色の西部劇』という一言では片付けられない摩訶不思議な魅力に溢れた作品です。オープニングに炸裂するジェイムス・ギャングの演奏シーンからして?です。穏やかな雰囲気の中、馬に乗った男が荒野を走っているのですが、荒野の真ん中で朝日をバックに突然トリオ(ジェイムス・ギャング)の演奏シーンが!!後にイーグルスに参加する若きジョー・ウォルシュのスケルトンギターが眩しい!意味もなくカッコいいシーンです。電源はどうしたの?なんてツッコミはしてはいけません。このごきげんなインストナンバー「ラグナ・サラダ」をバックに通販?で買った銃を手にしてエキサイトする男こいつがザカライヤ(通称ザック)です。ちなみにザカライヤとはヘブライ語で“ヤハウェ(神)が覚えてくださった”という意味らしいです。

 ザックは友達のマシューとともに一流のガンマンを目指すのですがある日、町にやってきた旅回りのバンド兼ギャング団「クラッカー」の仲間になります。この主演の二人は結構甘いマスクでその後BIGになっていてもおかしくない逸材だと思ったのですが、そうでもないようです。ザック役のジョン・ルビンスタインはその後はTV作品を中心に細々と、マシュー役のドン・ジョンソンはと言えばTVドラマ「マイアミ・バイス」ぐらいか・・・。はっきりとは覚えていませんが彼が歌った「ハートビート」という曲がスマッシュヒットしたようなことを聞いた事があります。確かすげークサイ産業ハードポップだったような・・・。ちなみにこのドン・ジョンソンは共演した女優のメラニー・グリフィスと2度結婚したが2度目も離婚したという笑える?!エピソードの持ち主です。付き合った女は3桁に上る超プレイボーイ、口癖は、「セックスは生に限るぜ!」(現在54歳)だそうです(笑)。クラッカーを演じるのはカントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュというバンドだそうです。申し訳ないですが全く知りません。二人はクラッカーと共にクラッカーが演奏して人の注意を引き付けてるうちに金をかっさらうという悪事を繰り返します。でもこいつらが主人公二人も含めてとても悪党には見えません。そうそうこの映画には悪役ってのが一人も出てきません!正義の味方が悪を討つとか、弱きが強きを打ち負かすとかそういうカタルシスを求めてはいけません。所謂燃える系の映画ではないのです。唯一凄みというか存在感のある役が悪のたまり場(酒場)「アパッチ・ウェルズ」を仕切る名うてのガンマン、ジョブ・ケインでしょうか。店内のイザコザを一発で解決し、人を撃ち殺した後に気持ちを静める為なのか壮絶なドラム・ソロ!を見せてくれます。それもそのはずというかジョブ・ケインに扮するのは有名なジャズ・ドラマーのエルビン・ジョーンズなのです(申し訳ないですがこの人も知りません・・・)。この凄腕ガンマン・ジョブ・ケインもあとであっさり撃られちゃうんですけどねー。ちなみにこの 「アパッチ・ウェルズ」で演奏している 黒づくめのバンドはオープニングに出ていたジェイムス・ギャングです。ファンキーな演奏がイカしています!ザックとマシューは、ケインの仲間になるために早撃ちテストを受けるのですが、腕を競い合う中でいずれ互いに撃ち合うことを恐れたザックはマシューと離れ一人旅にでます。ザックは山奥で一人暮らしをする仙人のような老人と出会い一緒に暮らすようになります。そんな中ザックは謎の町を訪れた際に 西部一のグラマー高級娼婦ベル・スターに一目惚れ。簡単に言うと吉原みたいなところなのでしょうか、ベル・スターと書かれたこのスポットのセットがかなりマヌケで笑えます。ドリフコントのセット並みでわざとチープな感じを出したとしか思えません。なぜかお姉ちゃん達にマッサージをしてもらった後キラキラの白いスーツ・まるで王子様のようないでたちに着替えて憧れのベル・スターの元へいざ出陣!(なんやそれっ)言っちゃあなんですが個人的にはベル・スターはたいしてイイ女ではありません。このベル・スターはガンマンが好きなのか、凄腕のザックのガンさばきをみてあっさりベッドイン!なぜか傍ではBGMを演奏するバンドがいまして、ベル・スターとザックが服を脱ぐと同時にバンドも裸で演奏しているというマヌケな演出が笑えます。ちなみにこのバンドはニューヨーク・ロック・アンサンブルというバンドで後に数々の映画音楽を手がけて有名になるマイケル・ケイメンのバンドなのです。恐らく鍵盤叩きながら歌っているのがマイケル・ケイメンでしょう。補足としてはメタリカと共演したオーケストラの指揮をしていたのがこの人です。これからも多方面で活躍が期待されていたのに2003年に心臓発作のため55歳の若さで死んでしまいました。合掌。Hして満足しきったのかザックはまた老人の元へ・・・。一方マーシュはあのジョブ・ケインを倒したマシュー(これもあっさり・・・)は、西部一のガンマンに。しかしザックを倒してこそ真のナンバーワンと考えザックの元にやってきます。 すっかり老人との穏やかな生活にひたるザックの姿を見てマシューはイラだち、ついにはザックにキレて早撃ち勝負を仕掛けるも友達だから・・・とじらすザック。おいおい恨みがあるわけでもないのにそんなに簡単に友達と果し合いするかー?しかも命がけの。結局友達同士で殺しあうお互いの愚かさに気づいた二人はあっさり(本当にあっさり)仲直り。まあハッピーエンドですな。結局はザックとマシューの友情物語ってのがこの映画のテーマってところでしょうか?私はラストはどっちかが撃たれて重ーいエンディングになるのを想像していたので何気にホロリとしてしまいました。

 見終わって素朴な疑問が沸きました(西部劇ってほとんど観たことがないもので失礼します)。早撃ち対決のの場面というのは西部劇ではメインまたはクライマックスの場面だと勝手に思っているのですが 、対決シーンってこんなにあっさりしているものなのでしょうか?私の印象だと「なんだてめぇ、ヤるのか!」「よーし早撃ちで勝負だ!」「よしきたっ!」パンッ(銃の音)・・・どっちかが死んで終了・・・あまりにもあっけないという印象です。これじゃ燃えないなぁ・・・(笑)。

 魅力がいまいち伝わってないとは思いますが、まあ観てください。こんなツッコミどころ満載の一見真面目な西部劇なんて後にも先にも他にないですよ!(笑)西部劇とロックが融合しているかどうかはそれぞれの判断に任せるとして、全編にわたってウットリしてしまう広大な台地に砂漠、山々などの美しさと、有名、無名ミュージシャンっをフィーチャーしたMUSICは見事に融合していると断言します。サントラCDがあったら是非手に入れたいですね(未発売のようです)。ちなみにクレジットにあるホワイト・ライトニンというバンドが何処に出てるのか最後まで分かりませんでした。すいません・・・情報提供お待ちしております。悪のたまり場(酒場)「アパッチ・ウェルズ」の前でヴァイオリンを弾いてるのがめちゃくちゃマイナーなミュージシャンのダグ・カーショウという人だそうです。尚こちらの輸入DVD(地域コード1)は当店で密かに発売しておりますので、ロックムービー好きはもちろんカルトムービーファンの皆さんは是非自分の眼でお確かめください。
BY SF



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