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 ありがたくもアップリンクより招待状をいただきまして、アップリンクXの試写室にて「ピンクリボン」を観てきました。
 「何だ?それ」という方に説明すると、今でも日本映画の製作本数の1/3を占めるピンク映画のドキュメンタリーです。1962年の「肉体の市場」がピンク映画第一号だそうなので、43年もの間生き延びてきたわけだ。43年・・・ちょっと中途半端じゃない?どうせならピンク映画生誕40周年とか言って2002年に華々しく公開すればよかったのに。ま、それはともかく今もしぶとく”生き延びている”ピンク映画の現在を関係者のインタビューを通じて記録した優れたドキュメンタリーとなっています。
 特に今回はピンク映画のビジネス面に焦点を当てているのが興味深く、新東宝の営業部長やプロデューサーからフィルム管理のおじさんまでインタビュー行なっているのがなかなか面白かったですね。個人的には一時期、映画と舞台のリミックスを行なっていた話とか、「痴漢電車」を本気で商標登録しようとしたなんていうなんともトホホな話にはちょっぴりボンクラ魂に火がついたね。
 ちなみに饒舌に映画愛を語っている池島ゆたか監督は物凄くカッコイイけど途中でインタビュー切られてます。(笑)あと若松孝二監督のところは日本語字幕入れてください。(爆)あ、そうそう中野貴雄監督もチョコっとだけ出てます。地獄女史ではなく普段の中野監督でした(!)。
 これを観終わって感じたのは、もう誰もピンク映画に未来は見てないし、ただ臨終の時を待っているだけだということ。小さな器の中がもう飽和状態になってしまっている。ピンク映画のイベントなどに参加すると感じる、小さなところで固まる仲良し集団。それでいいのか?このままでいいのか?ルーティンワークでとりあえず撮り続ける監督の一本分を、デビュー作が評価されながら以降一本も作品がなく、エロVシネで糊口をしのぐ城定秀夫監督になぜ分けてあげられないんだろう。プロダクションも崩壊してしまった今、人材も育たなくなっているのはほんとヤバイよ。荒木太郎監督のように積極的に人材育成したり、手作りパンフレットを販売するなど徒手空拳の闘いには頭が下がるけれど、その熱い想いがどうも我々観客にまで伝わらないもどかしさも感じるのです。人材育成が目的になってしまって客は置いてきぼりになってしまっては本末転倒でしょう。
おい、そこのオマエ!ヘラヘラしてんじゃねぇよ!
 先ごろテアトル新宿で行なわれた「いまおかしんじオールナイト」で上映された監督ニ作目「痴漢電車 感じるイボイボ」のあまりの素晴らしさにピンク映画のありがたみをしみじみ感じたけれど、もう今の状況ではこういった作品が生まれることはないね。若さに任せて撮ってしまった若手監督の通過儀礼みたいな作品だけど、監督のエモーションは確実にフィルムからあふれていた。監督は主人公を「タクシードライバー」のデ・ニーロだって説明したらしいけど、オイラには松田優作が乗り移ったかに見えたね。この作品、今後絶対にソフト化されることはないので(その理由は観ればわかります)劇場でかかったら絶対に観ておいたほうがいいですよ。フィルムの状態もすでにあまりよくないし・・・。
おい、そこのオマエ!撮れると思うなら撮ってみやがれ!
 「ピンクリボン」は5月14日よりアップリンクXにて公開されますので、一人でも多くの人に観てもらい、そして考えてみてほしいと思います。


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