「テレビ映画っていいよなぁ、贅沢で」

テレビ映画のクオリティが侮れないのは、有名な『激突!』を例に出すような野暮くさいまねをするまでもなく周知されている昨今かとは思いますが、「日本では劇場公開された」ですとか「劇場映画に劣らぬクオリティ」など、あくまで王道たる劇場公開映画との比較において語られることが多いというのが、どこか腑に落ちないと申しましょうか。心の片隅にくすぶるそんな気持ちに対し、「テレビ映画っていいよなぁ、贅沢で」と思わず声に出してみたくなるような、そんなテレビ用ホラー映画三本をセットにしたのがこのボックスです。

商品のご案内という趣旨からは大幅に脱線して恐縮ですが、「テレビ映画の贅沢さ」について私見を書き散らかしてみたいと思います。もっともこれは別にテレビ映画に限ったわけではないく、映画全般に関してのことなのですが。とまれ全く個人的な、文字通り私見ですので、どうぞ適当に読み飛ばして下さい。


「崇高さに感動するドラマ」「ド迫力に圧倒されるスペクタクル」「手に汗握るアクション」「心底震え上がるホラー」「腹を抱えて爆笑するコメディ」「心が締め付けられる、あるいは温まるラブストーリー」等々、映画鑑賞は非日常を提供してくれますが、そうした心揺さぶる体験だけが映画の醍醐味でしょうか?いえいえ、一方で、失笑とともにそのしょうもなさを愛でたり、エクストリームな表現に衝撃を受けるのもまた大いなる楽しみです。ごもっともですが、これとて心に何かしらの痕跡を残すある種の感動体験に他なりません。 そうではなくて、これは面白い!とか感動した!などと声高に絶賛するわけでもないけど、何とな〜く楽しみつつ、時には映画から意識が離れたりしながらぼんやり画面を見ていたら、90分という時間が過ぎていた・・・こうした経験はないでしょうか。果たしてこれは時間の浪費だったのか?答えはもちろん否。むしろ時間とお金、労力の対価として感動や興奮などといったものは求めやしない、このゆとり。これこそまさに贅沢というものではないでしょうか。

店主が個人的にこれを実感したのは、ある夏の夜、その映画を観る必然性など一切ない状況下(むしろ他に観るべき映画はいくつもあった)、中古ビデオで「マネー・アカデミー」という映画を観た時でした。この映画、海外では劇場公開もされておりテレビ映画ではないので、早速趣旨から外れておりますが・・・それはともかく、緩やかに流れるあの時間、アルコールも少々入り酔いも手伝って、まさに至福のひと時。翌日には映画の内容は殆ど記憶にないようなコメディ映画でしたが、鑑賞中は「どうってことないが、これは最高の映画だ」と、そう感じずにはおれませんでした。

例えば教養の一部として映画史的に名作とされる作品を片っ端から観る。もちろん素晴らし事ですが、それ「だけ」が映画だと思っていては、何も残らず90分と言う時間だけが過ぎた、そんな、なんとも贅沢な映画体験を逃す可能性があるのもまた事実かと。

長々と書いてしまいましたが、こんな素敵なひと時を、ここに収められている三本のテレビ用ホラー映画からも、なんとなく感じられたりします。やや強引ですが。大スクリーンで楽しむ手の込んだ恐怖も、アンダーグラウンドが極める残虐も、もちろんここにはありません、誰もが見るテレビ放送用に制作された映画ですから。同様に突っ込みを入れながら楽しむような底辺映画の要素もありゃしません、きっと番組スポンサーもおり、腕の確かなスタッフ、キャストたちが真面目に作ったそつのない映画ですので。そんな、下手すると中途半端の一言で片づけられかねない映画ですが、それゆえに持ち得る何かが多分ここにはある。すっかりいい歳こいて、心身ともに衰えを感じ始め、複雑なストーリーを追ったり、映画が引き起こす感情の起伏に対処するのが時々しんどく感じる。そんな店主にとって、これら普通サイズのテレビ映画がもたらすひと時は大切で贅沢なものです。たまたまつけたテレビでやってるのを見た、そんな出会い方が理想的なタイプの三作でもありますが
、今の時代そんな贅沢はとっくに失われましたから、ここは買って楽しむしかありません。


収録映画紹介

ハイスクール・レイプ』 (78) 
日本ではビデオ発売があった本作は、レイプされ病院に担ぎ込まれた女子高生ゲイルの回想から始まる。彼氏も出来て高校生活をエンジョイしていたゲイルだが、やがて怪しい電話やメッセージに悩まされ始める。突き止めた犯人は・・・犯人が判明した後も続く日常。「法律は被害者よりも加害者を守っている」というゲイルの遣る瀬なさが辛い。若き日のデニス・クエイドが出演。

プレイメイト スキャンダル』 (84) 
こちらも日本でビデオ発売、テレビ放送があった作品。トム・スケリット、ロバート・カルプとなかなか出演陣も豪華だが、何と言ってもシャロン・ストーン初期出演作として(脇役ではありません)、彼女のファンは必見。セクシーモデル業界を舞台に、連続殺人を描く。真犯人を知ってしまった時の刑事トム・スケリットの演技、そしてシャロン・ストーンにキスまでされて迫られても断る鋼の意志、流石です。音楽はブラッド・フィーデル(ターミネーター)が担当。

ナイトチャイルド』 (90) 
こちらもやはり日本でビデオ発売あり。トム・スケリット、さらにその後「ロード・オブ・ザ・リング」で名をはせる子役イライジャ・ウッド出演。父が鉤爪フックで惨殺されるのを目撃した坊やルーク。捜査に協力する女性児童心理学者ジャッキーが、トラウマのために目撃したはずの犯人を思い出せないルークに催眠療法施すと、ルークはそこでピーターパンになって犯人であるフック船長に迫る。時には僕のお母さんとベッドを共にしてさえいるフック船長=犯人の正体は!?・・・結構えぐい設定で、事件が解決してもなお、と言うかますます坊やの心の状態が心配になってしまう。子を持てなかったジャッキーの母性や、過去のある熟年同士の淡い恋なども描き、そつのない仕上がり。


各タイトルいずれも特典収録。英語字幕付き(メニュー画面には無いのでお手持ちの機器からの操作でお願いします)、 全世界5000セット限定ですヨ!

Televised Terror : Vol.1 限定版

 3枚組BOX \9900





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