一卵性双生児のエリーとビバリーは高名な産婦人科医。やり手で社交家の兄と優秀で内気な弟は、互いを補い合うような一心同体の存在。しかし女優クレアの出現により、全てを共有してきたはずの双子の微妙な均衡が崩れ始める。戦慄すべき二人の絆は、決して各々が自らの人生を歩むことを許さなかった・・・。
クローネンバーグの集大成にして新たなるフェイズへの扉を開いた本作は、実際に起きた事件にインスパイアされて書かれた小説を原作としている。日本では短期間の公開に終わってしまったが当時より評価は非常に高く、クローネンバーグをホラー映画のジャンル監督として興味の対象外に置いていた評論家や映画ファンの注目を集め始める切っ掛けとなった。実際、精神崩壊から滅亡へとまっしぐら突き進むあまりに痛々しく切ないクライマックスは映画史を揺るがす名場面である。当初は原作同様「ツインズ」というタイトルだったが、同時期にシュワルちゃん主演作に同じタイトルを使用していた盟友アイバン・ライトマン監督が「デッド・リンガーズ」というドラマチックな響きの素晴らしいタイトルを提供してくれた。一人二役で双子の産婦人科医を演じるジェレミー・アイアンズにとっても、本作は役者としての突破口となった重要作である。その証拠に「運命の逆転」でアカデミー主演男優賞を受賞した時、壇上からクローネンバーグへの感謝を述べたほどだ。長年の音楽パートナー、ハワード・ショアのスコアも抜群で、近年ようやく完全版サントラがCD化されファンの溜飲を下げた。色彩設計も見事な硬質な映像はピーター・サシツキー。これ以降現在にいたるまでクローネンバーグ作品の撮影監督を務めることになる。
さてこの度のコレクターズ版ブルーレイは、2枚組仕様でHDトランスファーを施されたアメリカン・ビスタ版に加え、なんとオリジナルアスペクト比（1：1.66）のヨーロッパ・ビスタ版も２Ｋスキャンで収録！新規インタビュー映像多数に加え、当時の貴重なインタビューや舞台裏も収録。マニアならずとも絶対買いの一枚。
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