出所したばかりのサイコパスが、さっそく殺人衝動を抑えきれなくなりタクシー運転手を殺害。森の中をさまよい、やがて一軒家に侵入すると、そこに帰ってきた住人を殺害してゆく・・・。基本的にはそれだけと言えばそれだけ。だが映画自体、類を見ない仕上がりで厭な感じに満ちておりヨーロッパ版「ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録」(といってもヘンリーより古いが)に例えられることもある。
監督は衝撃的な本作一作を残し、その後CMやドキュメンタリー畑へと転身した男、ジェラルド・カーゲル。独特なカメラワークと寒々しいルックで映画の個性を強調する撮影を担当したのはポーランド出身の映像作家ズビグニュー・リプチンスキー。音楽は初期タンジェリン・ドリームのクラウス・シュルツ。このメンツをみても本作が野心的な異色スリラーであることが伺える。 |